2006年02月05日

牽引療法

Q.牽引療法について知っておくべき事は何ですか。

 A.牽引療法は、古くて新しい治療法である。実際の臨床ではリハビリ助手などに任せきりであることも多いが、理学療法士たるもの、そうではなくきちんと責任を持って医学的効果を確認して行えるよう、きちんとその効果や適応を知っておく必要がある。
まず牽引療法の治療効果については以下のようなものがある。
1.椎間関節・椎間板等周囲軟部組織の伸張、矯正、離開
2.椎間孔の拡大、椎間板内圧の陰圧化と椎体の前後の靱帯の伸張
3.脊柱周囲筋の緊張の除去・弛緩
4.マッサージ効果による組織の循環改善・促進
5.患部の安静・固定
 このうち物理療法としてリハビリ室で取り扱う間歇牽引は主に1〜4、病棟で行う事の多い持続牽引は1,2,3,5の効果を狙ったものである。
 次に牽引の重さ・角度・時間であるが、頸椎牽引の場合は牽引の重さは頭部が体重の7%であり、これに傍脊柱筋の緊張力もあることから10kgは最低必要という文献も見られるが上記4の効果を狙うのであればもっと少なくてもいいという説もある。いずれにしても一律に決めるのでなく患者さんの訴え等をよく確認して決めるべきである。一般的には7〜20kg程度で引っ張ることが多い。また牽引角度は上位・中位・下位頸椎の各部位によって使い分けるべきであり、下位に行くほど角度をつける必要がある。時間については間歇のタイミングにもよるが、緊張が緩むのに時間がかかることなどから15分以上の牽引時間は必要であろう。
 腰椎牽引の場合は牽引の重さは通常体重の3分の1〜2分の1の重さで牽引することが多いが、これも一律に決めるのでなく、患者さんの訴えをよく確認して決めるべきである。また、骨盤ベルトの位置(できるだけ後方につけるのが正しい!)や衣服による摩擦などにも留意し、また膝を立てたり台に乗せたりして腰椎の前わんを減少させ無駄な力が抜けるようにし、牽引角度も20〜30度になるよう設定する。
 いずれにしても、やりっ放しにせず、定期的に患者さんの様子を確認し適宜フィードバックする心がけが大切であることは言うまでもない。
posted by pt_onuki at 06:48| 千葉 | Comment(8) | TrackBack(0) | 物理療法学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
就職してすぐのときに質問されて、
もぞもぞ専門用語を駆使して答えたら、
「一番はリラクセーションだ!」
と整形のドクターに簡単に云われました(笑)

ここでいう3番なのでしょうか。
少々トラウマ気味です(苦笑)
Posted by samu at 2006年02月07日 17:10
近所の整形外科の病院では平気でその辺のおばちゃんスタッフが牽引や物療をやっています。なんか運動器リハの動向などみていると、整形領域もどんどんPTいらずの体制作りになっていますね。牽引にしても、学会等の発表もほとんどみませんね。施設基準からはずれる日も来るのでしょうか?
Posted by ぷろPT at 2006年02月07日 18:04
>samuさん、
確かにそれは3番のことです。
しかしその整形外科医はさすがですね。
なかなかそうズバリと細木数子のように言えるDrも多くはないと思います。

>ぷろPTさん、
そうなんですね。
そういう風潮に警鐘を鳴らす意味でもこのトピを取り上げたわけです。
牽引療法ももっと力を入れるべきですが、
何しろ最新のPTジャーナル(2月号)の「物理療法の有効性とリスク管理」でも
牽引は外されていますからね。
まあ物療機器の中での位置づけはちょっと不利なのはわかりますが、
効果の真偽は置いといて意外と整形のクリニックではよく使われるわけですし、
そういう点もしっかり考えないとね。
(その辺が運動器リハに負ける要素でもあるのかな・・・)
Posted by おぬき at 2006年02月07日 20:10
そうですね、しっかりと検証して使っていないんでしょうね。PTはどこかで牽引やホットパックで治る痛みを軽く見ているのかもしれませんね。「そんなんで治るのって、ほっといても治る」みたいなところが・・・。どうでしょうか、時間があれば物療をせずに徒手で治療するのかもしれません。
Posted by ぷろPT at 2006年02月09日 16:13
本当にそう思います。

そもそもリハビリテーションやPTの過去の現場の歴史って、かなり必要度の高い、重症なかたでないとオーダーが出ませんでしたよね。PTの数が少ないというのもあったし。もう20年も前のことを知っているPTならわかると思いますが、一日に30人も40人もこなしていた時期もありました。
だから、極めて軽度の症状の方はオーダー出なかったものね。その辺がぷろPTさんの仰るようなほっといても治る、という考えを生むのかも知れません。
PTも増えてきて、職域拡大を叫んでいるのなら、こういうところからも地道にアプローチすることが必要なのではと思います。
Posted by おぬき at 2006年02月09日 18:13
ついにアクセス数1万件ですね。ここ数日のアクセススゴイですね。これからも宜しくお願いします!
Posted by ぷろPT at 2006年02月11日 00:52
本当だ!
くり返しアクセスをカウントするようにしたら前より増えましたね。

皆さん、アクセスありがとうございます。
Posted by おぬき at 2006年02月11日 04:15
私は頚椎症性脊椎症といわれオペ適応といわれたものの先輩ドクターがまだいいでしょう!の一言で安静入院でした。確かに症状は取れましたが、退院し仕事3日で入院前よりひどく咳をしただけで腕に電気が走ります。足もだるく右足大腿四等筋の外側に力が入りにくくなっており足全体にサポーターをつけて仕事してます。持続牽引を入院中は4時間して退院後はなし?おかしいですよね〜!首の安静のためにも自宅で器具作ってしようかと考案中です。
Posted by hiro shimotu at 2015年12月27日 14:10
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