2010年12月01日

段差の功罪

 非常勤でお世話になっているクリニックでのとある患者さんとのやりとりである。
 その患者さんは片麻痺になってしまい、麻痺が重度であったので廊下に手すりをつけたり、部屋間の段差をなくす工事をしたりして、ようやく屋内での生活が安定したのであるが、ひとつだけ、予想外のことが起きてしまった。
 彼女が脳梗塞で倒れる少し前、家を新築したばかりなのだが、まさかこのように身体が不自由になるとは思わなかったこともあるが、新築にあたって、家の土台を土盛りによってかさ上げしたことが裏目に出てしまったのである。私の家もそうなのだが、家が川の近くにあるということもあり、治水が改善され洪水などは起きにくいとはいえ、昨今のゲリラ豪雨などに備え家全体の土地をかさ上げするのは珍しいことではない。
 しかし、このおかげで、家の中はバリアフリーに近くなり過ごしやすくなったが、いざ家の外に出ようとすると玄関のアプローチをはじめ、通りに出るまでに何段もの階段があるという大きなバリアが出来てしまったのである。
 まだこの患者さんはADLとしては発展途上にあり、階段部分に手すりをつければなんとか行けそうな状態でもあり、結論は出ていないのだが、考えさせられる事例であった。
 セラピストはとかく家の中での対象者の自立を目指そうとする。勿論その前提に間違いはないと思うが、そこで終わらず、外出など「参加」の面を含めて対象者の生活を考えられることが地域生活者を支援することである。その原点を忘れずに臨みたいものである。
posted by pt_onuki at 04:24| 千葉 ☁| Comment(2) | TrackBack(0) | 地域理学療法学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
外出手段の確保は大事ですね
外出手段がないと
通院 デイサービスなどの介護サービス自体を受ける機会が減るかもしれませんし、もちろん本人の生活の質にも関係しますからね。

私も担当の利用者さんで同じような経験があります。川の周辺に住む人で台風を経験し浸水した人が
土地のかさ上げをしてみえました。

そのかたの話を聞くとその方にとっては自分が外出出来ない事より
台風の危険に重きを置いているように話されていました。

よほどの経験だったと思います。

土地によってはこのようなところもありますね。





Posted by sinnziro at 2010年12月02日 12:52
sinnziroさん、いつもコメントありがとうございます。

そうですね。
私の住む土地も、河川敷から100mと台風の被害と無縁ではありません。
子供の頃は何度も堤防決壊の恐怖を経験しました。
まあ、今は治水がしっかりしているのでそのようなこともまずないとは思いますが。

家屋改造に限りませんが、あちらを立てればこちらが立たず、ということは意外にありますよね。
対象者の人生のイベントなんて、何が起こるかわかりませんので、予見することも無理なのではありますが、何とも歯がゆい気持ちになりますね。

そういう時にアドバイスを含め生活の活性化をお手伝いできる、そんな頼れる職種でありたいものです。
Posted by おぬき at 2010年12月02日 21:19
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/171340788
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。

この記事へのトラックバック