2013年09月01日

ものがたり#17 元保健師のS先生

 さて、今回は本当に久しぶりに「ものがたり」の更新である。これは過去に私が担当した患者さんとの思い出を臨床に役立つ気づきを踏まえ書きおこす物語だったわけだが、なにも患者さんに限らない。同僚や恩師の思い出話もたまにはいいだろう。
 というのは、暑い暑い7月末のある日、私の恩師であり、仲人をしていただいた元保健師のS先生が亡くなった。享年93歳。そのお歳には見えないくらい矍鑠として、病院のソーシャルワーカーをお辞めになってからもボランティア活動や自分史の執筆など精力的に活動なさっていた矢先の訃報に、ただただ悲しく、やるせない気持ちでいっぱいである。
 先生は、M市がまだ町だった頃から、町の保健師として一貫して現場主義として仕事をされてきた方であり、老人保健法が成立する頃に、すでに全国に先駆けて機能訓練事業を立ち上げた方である。私が理学療法士となり、先生の勤めていた病院に就職した時には、右も左もわからない若造に、いろいろと地域リハビリテーション(まだこの言葉さえなかった時代)のいろはを教えていただいたものである。つれあいとの出会いも、先生を通してであったし、老人保健法が成立し、各地の保健センターで機能訓練事業が始まったときには多くのアドバイスをいただいた。
 また、まだ現在のように訪問リハビリテーションさえなかった時代に、率先して患者さんの外泊に同行して、訪問事業を切り拓いていったのが懐かしく思い出される。
 まだ介護保険や在宅医療の未熟な時代のことである。今なら当たり前に地域で過ごせることが、当時は病院から退院すると、全く知らんぷりというのが普通というお粗末な時代だった。この当時はこれらの地域の保健師さんによって、退院後の患者さんの生活が支えられていたのである。このことは理学療法士はもっと知っておかなければならないと思う。
 そして、もう一つ、かの保健師さんたちの行動力、これは我々理学療法士はもっと見習わなくてはいけない。それが血となり肉となり、自信につながり、ひいては対象者を暖かく包み込む眼差しを持てる余裕につながるのだと思う。
 先生の遺影を見つめ、もっともっと精進せねばと改めて思った。どうか安らかにお眠りください。合掌。
posted by pt_onuki at 04:30| 千葉 | Comment(0) | TrackBack(0) | ものがたり | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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