2015年03月01日

つぶやき#129 予防理学療法

今回は、先月参加した第一回予防理学療法学会のことで思ったことを書こう。
 2015年2月8日、東京にて第一回の予防理学療法学会が開催された。
「予防」と聞いても、一般のPTには介護予防のイメージしかないかもしれない。しかしその守備範囲はもっと広く、介護保険法の枠内の介護予防だけでなく、地域リハビリテーションとしての活動や宇宙飛行士などの体力に関する運動生理学的な分野まで、疾患や不健康の「予防」に関するものはすべて含まれるのである。非常に多くの演題の発表が行われ、また東京都健康長寿医療センター研究所の大渕修一先生、国立長寿医療研究センター研究所の鈴木隆雄先生のご講演を拝聴できた。
改めて思うのだが、介護保険がスタートして15年が経って、随分世の中が様変わりしたものである。昔、介護保険が始まる前、老人保健法の時代には介護予防の考え方はなかった。市町村で転倒予防教室を開くと、市の職員からは講話主体で進めるように言われ、実技としての体操をやろうとすると「怪我でもしたらどうするのか」と言われて敬遠されたものである。また健康寿命という考え方も言われ出したのは最近のことであり、病院ではリハビリテーション科として理学療法をやっているとは言っても、一部には何年も寝たきりの高齢者を関節可動域運動や車いす坐位として参加としての目的もなく毎日お世話をするというルーティンワークも当たり前であった。あれから20年が経とうとしているが、今では高齢者自ら運動をするようになり、社会にも運動の大切さがかつてよりは理解され浸透してきたように思う。9時〜10時、15時16時には町でデイサービス等の送迎車が走っているのを見かけない日はないし、幼稚園の送迎バスよりも遙かに数が多い。病院でも機能の棲み分けがはっきりし、長くかかる対象者は療養病棟や老健施設へと移っていくし、それとて過去に私がやったような理学療法でなく、今後に向け先を見据えた理学療法を提供するようになってきている。それもこれも医療経済や国の借金による危機感が為せる業である。
しかしそれでもなお、マンパワー不足と言われ、また今春の介護保険法の改定で保険料の値下げが象徴するように、国の保健行政は上手くいっているとは言いがたい。それほどに急激な少子高齢化が進んでいるし、私の住む浜松でもこれから地方の人口減少はもっと深刻な問題となっていくのであろう。
話を戻すが、予防理学療法学会で今回学んだことは、我々理学療法士が地道に行っている臨床活動は(予防理学療法という観点からすると)もはや曲がり角に来ている。これからは臨床活動を越えて「ひとづくり」「仕組み作り」が喫緊の課題である。schrockの釣り鐘モデルにあるように要介護高齢者と同じ数だけ健康な高齢者もいるのであり、彼らを社会的に上手に活用することで、このマンパワー不足を補っていかなくてはならない。
我が国の高齢化社会は世界に類を見ないスピードで進んだために数々の他の国にない特徴を持つに至った。数年前、我が国の福祉制度はその立ち後れ故、よく北欧へ視察に行ったものである。しかし今やもう、国民皆保険だけでなく介護保険制度さえも各国のお手本となるに相応しい。それほどこの国の高齢化は爆発的であり、これを克服できたなら、それはもはやこの制度を世界に輸出しても恥ずかしくないくらいの制度となり得るのではないだろうか。
2025年の団塊世代の後期高齢者のピークまであと10年である。待ったなしの中で我々理学療法士も挑戦していかなくてはならない。
posted by pt_onuki at 06:24| 千葉 | Comment(0) | TrackBack(0) | つぶやき | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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