2016年09月01日

子供の服装と血の洗礼

 フェリペ・プロスペロ・デ・アウストリア王子をご存じだろうか?
 著作権等あるので画像は載せない。詳しくは各自webで検索していただきたいが、調べると宮廷画家ディエゴ・ベラスケスが描いた女児服を着た薄幸そうな幼子の画像がヒットしたことと思う。
 この子は16-17世紀に隆盛したスペイン・ハプスブルク家の王位継承者であり、ベラスケスが描いた肖像画はウィーンの美術史美術館に所蔵されている。ハプスブルク家に仕えたベラスケスの慈愛に満ちた肖像画であるが、同時に大変病弱な様子も伝わってくる。
 この時代には宮廷では子供には今と違ってこのように女児服を着せる習わしであった。甲冑ばりの胸をきつく締め付ける拷問具の様な衣装は子供らしい活発な動きを制限し、十分な呼吸を不可能にした。加えてこの王族で生まれてくる子らが全て短命なのは身内の血筋を守るため、頑なに近親相姦を繰り返し、生まれてくる子の多くは遺伝的に何らかの障害を持っていたからであると言われている。プロスペロ王子も短命で4歳でその生涯を閉じている。
 さて今回私は絵画の歴史の話をしたいのではない。小児の理学療法学を学ぶにあたって、子供の健やかな成長や発達へのアプローチは非常に大切な視点である。当時はこのような子供の発達への教育的視点が欠落していた時代であったわけだが、そのことに気を止め、子供の成長とは何かを問い続けたい。いつの時代も本来の大切な視点に気づかない愚かな間違いというものがあるのだろう。一見自由な現代社会に於いてもこのような後世には常識外れと言える様な非常識があるかもしれない。子供の衣服しかり、種族繁栄しかり。
 そして最近のメディアスクラムといい、殺伐として自由にものを言えない風潮が蔓延している社会はかつてのそういう非常識が知らず知らずのうちに膨れあがっていきそうでそこが怖いのである。常に自身の立ち位置を考え、悪意に流されない自ら考える姿勢を保ち続けたいものである。
posted by pt_onuki at 03:49| 千葉 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 小児理学療法学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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