2017年03月01日

つぶやき#148 マイノリティをメジャーに

 今回は身障の臨床で起きたある出来事をもとに、制度変化の問題点やそれについての医学教育の問題点にふれてみたい。
 障害者総合支援法が平成25年から施行されたが、介護保険法と比べこの法律は支援費制度にはじまり、自立支援法、そしてこの障害者総合支援法と変わってきた経緯があり、制度が十分成熟し整備されていない嫌いがある。具体的な問題としては、支援費制度から自立支援法へ移行した2006年頃の社会福祉施設数の年次推移を見るとよくわかる。この頃より身体障害者厚生養護施設や知的障害者援護施設は徐々に減っている。同時に障害者支援施設など新設の施設が生まれたわけであるが、減った分を補うほどではなく、要は施設のスリム化にさらされたわけであり、この結果、知的障害の施設などに身体障害を併せ持つものなどが増えたように見える(実際に確認したわけではないが、自分の非常勤で勤める施設においてはそのようになってきている)。
 この変化に施設の職員の意識や必要とされる医学的知識が追いついていないように思われる。知的障害の施設において下肢の装具や食事用の自助具を対象者のケアの中で正しく効果的に使ってもらうことのなんと難しいことか。身障の世界でも痙性を抑制するための装具の装着においてさえ、装着の仕方に難しさが伴うことも珍しくないのであるから知障の世界ではなにをかいわんやである。
 さらには、残念なことであるが、かかりつけ医の中にも脳性麻痺の下肢の痙性の症状を一般的な片麻痺などと同列にみており軽視している医師がおられるように見受けられる。具体的には、痙直型の成人の脳性麻痺者に加齢によって結果的に痙性が高まったように見えている部分を障害の重度化ととらえ腱延長術の適応と判断するのは経験不足というよりも脳性麻痺の病態を十分理解していないために起こるように思う。また自閉症且つ重度の胸郭変形の対象者に対し呼吸機能の低下を悪く見積もって入院させたはいいが、知障があるために十分なケアが行われず対象者が抑制の憂き目に遭ったりするなど、目を覆うような惨状が相次いでいる。医師個人の資質の問題なのかもしれないが、脳性麻痺や知的障害の生の姿そのものをみたことがない医療職が増えていることが根底にあるのかもしれない。ここにも今までの合理化の弊害が見え隠れする気がするのである。
 そして同じ医療職の教育に関わるものとして、これを他山の石としていてはいけない。早急に大きな変化を望むのは難しいとは思うが、制度の変化に追いつけるように施設職員の教育や外部の医療連携の促進を図るような試みをどんどん増やしていくしかないと思われる。まだまだ道のりは遠い。
posted by pt_onuki at 04:20| 千葉 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | つぶやき | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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