2007年10月20日

メタボその後

 さて、2006年6月16日に「メタボリックシンドローム」について書いたが、あれから1年4ヶ月経ち、この疾患の情勢が少し変わってきた。今回はこれについて述べてみたい。
 それにあたり、先日、以下のような記事が報道された。

http://www.j-cast.com/2007/10/17012233.html

 確かに、以前、この疾患の定義が発表された時に、なぜ男性より女性の方が腹囲が大きいのか、当初は女性の方が男性より生理学的に脂肪組織が多いからと納得していたが、よく考えるとその根拠も疑わしい。まして、身長の要素を全く無視して腹囲の数値だけで肥満を判断するというのもナンセンスである。
 加えてこの基準の決定にあたり、IDF等諸外国の基準を参考にしたようだが、これの信憑性も怪しいと言われ、多くの欠陥が証明されたのは事実である(それでさえ、男性90、女性80cmとなっており日本は男女逆転しているのである!)。
 あくまで推測であるが、当初は国民に注意を喚起させようとカットオフ値を厳しく取り、国民の多くが該当者となるようプロパガンダをしたものの、結果としては国民の注意を促す効果は(今のところ)不十分となり、むしろ2008年度から始まる特定検診により、予備軍の過大な発生が見込まれ、医療費削減の目標と相反する結果になりそうなのであろう。そもそもこの日本の基準値は肥満学会主導で決められた経緯もあり、その後の研究でようやく間違いに気づいたというところであろうか。
 さらに、そのこととあわせ、東北大学から以下のようなプレスリリースも見られた。

http://www.tohoku.ac.jp/japanese/press_release/pdf2007/20071018_meta.pdf

 この発表は至極当然というか納得できるものである。10月25-27日に沖縄で開催する第30回日本高血圧学会のプレナリーセッションで報告されるようだが、大変興味がある。
 それにしても平成17年の「医療制度改革大綱」において示された数値目標では、平成27年に現在のメタボ(予備軍も含め)を25%減らすことをうたっているが、今後の展開で果たしてどうなるのであろう。個人的には、最初に医療費抑制ありきで行政の方針が決められ、実際の国民の(本来の)健康はどこかへ追いやられている気がするのである。当事者不在で健康の基準が決められるとしたらこんな馬鹿げた話もない。総量規制であったり、一部の団体の利益を反映したような結果でお茶を濁したような基準決めだけは止めていただきたいものである。
posted by pt_onuki at 05:29| 千葉 ☔| Comment(4) | TrackBack(1) | 運動療法学(呼吸・循環・代謝系) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
そうですよね
医療費抑制 1人あたりの医療費を抑えても高齢者は増え医療費は増加します。

指摘のように
やはり国民も自分たちの医療を今後どうしたいのか 
今のままのレベルを維持するためなら増税や健康保険料の負担増加も受け入れる覚悟があるのか
いやいやそんなことなら今のままでいい 
医療費抑制の方向でいい
いろんな意見が出てくると思います。
その辺の議論は必要ですかね 
Posted by sinziro at 2007年10月20日 16:51
何度もブログでは書いていますが、
どうもこの国の国民は自らの健康でありながら、
無関心と言いますか、ひとに決めて貰うのが好きなようで・・・。

同時に、育児の問題にしても、雇用の問題にしてもしかり。
いつまでも若肉老食の時代では、
この国の行く末は真っ暗であるような気がします。
Posted by おぬき at 2007年10月21日 05:17
確かに、肥満は欧米人の方が断然多いのに、逆にDMは日本人が多い。体質の違いと結論つけられているようですが、そのようなことから、少し「おどし」的な要素も加わったのでしょうか?
これからは、下手をすると70歳くらいまで働く必要があります。いつまでも無関心ではいられませんね。
Posted by ぷろPT at 2007年10月28日 21:41
そうですね。

糖尿病については、日本は国民病という認識で一致していると思いますが、厚生労働省としては、そんなことよりまず医療費削減が頭にあるんじゃないでしょうか。
成人病→生活習慣病→メタボリックシンドローム、と名前からしていかついものに変わってきていますよね。
しかし、基準だけ見ると何とも名前負けしている感がぬぐえません。
しかも、国民への啓発を考えるなら、もっとわかりやすい名前を付けるべきですね。
いかつい名前からわかるように、これでは本当にただの「おどし」ですよね・・・。
Posted by おぬき at 2007年10月29日 05:42
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メタボリック・シンドローム
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